羊飼いの仕事は、命が絶えず育まれる環境を守ること(羊まるごと研究所所長 / 羊飼い 酒井伸吾さん)
MITSUBOSHI1887を愛用してくださっている「使い手」の声と出会うMeets VOICE(ミツボイス)。
今回は、北海道白糠町にある「羊まるごと研究所(ひま研)」所長で、日本を代表する羊飼いである酒井伸吾さんにMITSUBOSHI 1887代表の岩田真吾(真)がお話を伺いました。
酒井さんのお人柄やひま研については、NHKプロフェッショナル 仕事の流儀「空と大地と羊と共に〜羊飼い・酒井伸吾〜」をぜひご覧ください。
羊飼いの仕事は、命が絶えず育まれる環境を守ること
*6月6日ひつじサミット尾州 三星100年ガーデンでのトークショーの様子。100人近い参加者が集った。
(真)
先日のひつじサミット尾州では遠く北海道から駆けつけていただき、ありがとうございました!酒井さんと私のトークショーにはたくさんの方にお越しいただき、とても盛り上がりましたね。
(酒井)
こちらこそありがとうございました。あれだけの方に来ていただけて、良かったです!
(真)
酒井さんのおかげで、それまで三星毛糸のことを知らなかった方にも、当日たくさんお越しいただきました。
メディアの方にも、「北海道から羊飼いが来た!」と取り上げてもらって。
(酒井)
それは良かったです。今回のひつじサミットでは、羊毛の工業製品はもちろん、手芸や食など羊に関するいろいろなチャンネルからアプローチでき、普段は出会えないような方々とも新たな繋がりができたのはすごく良かったですよね。
(真)
はい!
今回は、トークショー後に酒井さんに羊をさばいてもらって、丸焼きにしてお客様に提供する企画もやりましたね。羊の丸焼きを通して、お客様に「命をいただく」ということを感じていただけたと思います。
*6月6日ひつじサミット尾州 三星100年ガーデンにて、ひつじの丸焼きを料理し、さばく酒井さん(酒井)
そうですね。丸焼きで食べるからこそ、「命をもらう」という感覚、糧をもらうということをより強く実感できると思います。
(真)
レストランで見る切り分けられたラムチョップも美味しいし食べやすいけど、その感覚はちょっと抱きにくいですよね。丸焼きだからこそ、より強く感じられる気がします。
(酒井)
そう思います。そして、それが「美味しい」という喜びに変わるのも、すごく大切なことですね。
我々羊飼いの仕事は、この命の連鎖を守ることなんです。命をいただくだけでなく、「育てる」。それは、子羊そのものを育てるということではなく、その母親を育て、命が絶えず育まれる体制を作るということです。
この仕事がなければ、命はどんどん削れてなくなってしまうんですよね。
(真)
なるほど。目の前の羊を育てるだけではなく、その命のサイクルを絶やさず守り続けることが、羊飼いの使命なんですね!
メリノTシャツを着ていると、「土と繋がっている」感じがする
(真)
酒井さんには、MITSUBOSHI1887のメリノTシャツをご愛用いただいていますよね。羊飼いの方に着ていただけるなんて、嬉しいです。
*酒井さんにご愛着いただいているメリノ・ビッグシルエット・Tシャツ(カームレッド)
(酒井)
今日も着ていますよ!前にプレゼントしていただいたメリノTシャツのXLサイズもとても気に入っていますが、この新作のビッグシルエットはLサイズでバッチリですね。全体的にゆったりしているけれど、首周りはキュッとしまっていて気持ちが良いです。
*白糠の新緑にカームレッドがよく映えます。羊たちもついつい寄ってくる上質さ(笑)
このTシャツを着ていると、「土と繋がっている」という感じがすごくするんです。
うちの羊毛ではないけれども、世界のどこかで生まれて、そこの草を食べて育った羊の毛がこのTシャツになっている。
そう考えると、外国産だとか国産だとかそういう垣根を越えて、羊毛の持つ良さや、地面に繋がっている感覚を着ながらにして感じるんですよね。
*岩田がひま研へ初訪問した際に、メリノTシャツのプロトタイプをプレゼント。(真)
土と繋がる感じ…いいですね。これは酒井さんだからこそ紡ぎ出せる言葉だと思いますが、実は人類みんなにとっても同じことなんですよね。
(酒井)
そのとおりです。お金を出したから身につけられるのではなく、そこに命があり、育みがあり、生産があるから、身につけられる。人間の都合でちょっとコストがかかるので、お金を支払っているだけなんですよね。
(真)
それって忘れがちですが、すごく大切な視点ですよね。
(酒井)
はい、なので、大切な人へのプレゼントにも良いなと思って、うちの両親へのプレゼントとしてスーパーメリノ・カットソーを購入させていただきました。母親からは「肌触りがすごく良くって、特別なものなんだろうけど良い意味で特別な感じがしなくて、普段着として着られる。」と、とても好評でしたよ。
プレゼントする時に「洗濯しなくても匂いが臭くならないよ」って伝えたら、洗っちゃダメなものだと勘違いしちゃったみたいで、しばらく洗わずに頑張って着ていたらしいです…説明不足で申し訳ない気持ちになりました。今は「洗濯ネットに入れるの忘れても毛玉が出ないし、縮まない。」と言っていたので、ちゃんと洗いながら使っているようです(笑)
*スーパーメリノ・カットソーを色違いで。密度が高く、北海道の寒い冬も乗り越えられます。
あと、羊にも多様性があって。このメリノを触ると、「あ、これはうちの毛ではできないな」っていうのはすぐに分かります。でも、羊にもそれぞれの良さがあって、うちの羊毛にしかない良さもある。そういった、それぞれの羊が持つ良さや多様性も認め合えたらいいな、と思います。
*ひと目でわかる酒井さんの育む多様な羊達。その一頭一頭の羊毛を丁寧に扱っていらっしゃいます。
(真)
そうですね。それぞれの羊の持つ良さをしっかり見つめてお互いを認め合うことで、羊産業の可能性ももっともっと広がっていくんじゃないでしょうか。
酒井さん、本日はありがとうございました。これからも北海道と岐阜から、ともに羊業界を盛り上げていきましょう!